Fly Fishing 2016/12/14 Beneath the Surface Film 今週末もまたあやしい天気。風も吹きそう。。 いい加減、天気予報とリバーフローばかりをウォッチングし続けるのも疲れてきますね。 まあ今シーズン入りして以来、こんな天気でもなんとかそれなりの釣果を残してこれたのも、この入念な釣行前のリサーチあってこそなんですけどね。 とりあえず釣りが出来る水位まで下がった川が増えてきたので、川のチョイスはある程度広がりましたが。もう12月ですからね。 日曜日は南に下って、今年まだ一度も行っていないClutha River水系の支流の様子を見て、ダメならだいぶいい水位になってきたMatauraに行けばいいかなと。 目的の支流に到着。 この川も一昨年はけっこう来て、それなりにいい釣りが出来た。 いい時にはサイズ、数ともに見込めるOtagoでも人気の川の1つだと思います。 去年はシーズン初期に来た時には良くなくて、そのあとはほとんど来ないままシーズンが終わってしまった。 夏のウイローグラブに盛んにライズする川なのだが、こんな天気なのでライズは全くない。 前週のホームリバーと同じような生命感のなさ。 しばらく来ない間に川の様子もずいぶん変わっていた。 ここは以前はフラットなグラベルビーチだったのに、増水で流れてきた土砂が堆積したのか、真ん中が盛り上がって、流れが2本に分かれていた。 たぶんこの川は釣れないな、これは。 2時間弱で早々に見切って、Matauraに向かいます。 今日はGoreより少し上の中流域に入ってみよう。 まずはニンフィング向きの、ザワザワと波立って流れる段差の連続する区間から。 開始早々、すぐにロッドが曲がる。 アベレージサイズですね。 これは連発するかと思いきや、後が続かない。 中州に渡って、この落ち込み下の反転流の中に探りを入れると1発で食ってきた。 これは50cmくらいのオスでMatauraではいいサイズ。 もう余裕でランディング可能だったのに、この後水中写真を撮ろうと遊んでいたら外れてしまった。 あ~あ、まあいいか。 う~ん、ニンフでもあんまりだなあ、今日は。 せっかくMatauraに来たんだから、できればドライフライで釣りたいなあ。 どうせニンフも芳しくないんだから、どうせダメならドライに賭けよう。 Goreより少し下流の、ライズフィッシング向きなフラットな流れの区間に移動します。 次のポイントに到着すると同時に、雨も降ってきてしまった。 仕方なくカッパを着て、とりあえず釣ってみます。 それほど強い雨ではないけど、風もけっこう吹いているし、なんだかめげてくるなあ。 初めは少しニンフで様子をみてみたが反応はなく、ドライフライの釣りに切り替えます。 時間は5時を回って、ライズが起こってもおかしくない時間帯に入っているが、やっぱりこの雨と風で今日はダメなのか。 あまり期待の持てないキャストを繰り返しながら、30分くらいが過ぎた頃だろうか。 雨がほとんど止んで、風も一瞬収まって静かになった。 すると遠めでライズが起こったように見えた。 あれ、気のせいかな? レインドロップだったかな? しばらくすると、今度は至近距離でライズがあった。 今のは間違いない。ライズだ! これで一気にテンションが上がる。 この時はいつも使うダークブラウン系より明るいタンのエマージャーを使っていたが、このフライには出ない。 定番の#16CDCクイルダンに変えてライズの起こったレーンを流すと、ブラウンが頭をチラッと出してテイクした。 ドライに出てくれたー!やっぱりMatauraはこうでなくっちゃ。 まあまあいいサイズのオス。 よし、釣れたー。50cmくらいだな。 細身だけど、尻ビレがやけに発達した個体ですね。 うれしい1匹でした。ありがとう。 CDCが乾かなくて、もたもたしているとまた風が吹いてきてライズが止まってしまった。 とりあえずこのCDCダンはフライピットで乾かしておいて、新しいのを付けて次のライズに備えよう。 ダンで釣れたのだが、かなり静かなライズなので、水面直下の流下物をテイクしているのではないのか。 もう一度エマージャー、ただしさっきのタンではなく、いつものダークなトーンのブラウンのヤツに変えます。 雨は少々降っていても風が止むとライズが発生する。 エマージャーに出た2匹目。 これくらいのアベレージサイズのメスが2匹出て、またライズが止まる。 いったんバンクに上がって、風が収まって次のライズが起こるのを待つ。 この後アベレージサイズを1匹フックアウトで落として、次は遠めで出たのでちょっと強めにフッキングすると5xティペットがアワセ切れ。 その後またパタリとライズが止まったが、1匹だけ川の真ん中でライズしていたグッドサイズがロングキャストで何とか届かせたエマージャーに出たんですが、対岸に向かって走られてバッキング近くまで出されたところでフックアウトしてしまった。 あ~惜しかった。。 3匹も落としてしまった。しかもそのうち2匹はいい型だったのに。 アワセ切れなんて久しぶりだなあ。最近のレインボウとのラフファイトで、自分の釣りが少し荒くなっていたかな? でも夕方の約3時間の釣りで6発出て、楽しかった。 フライは最初のダンで釣った1匹を除いて、すべてこの#16CDCエマージャー。 釣れます、このフライ。 マテリアルをタイイング順に簡単に紹介すると、テイルがコックデレオン、アブドメンがダークブラウンのグースバイオット、次にCDCがナチュラルをメインに視認性を上げるためのホワイトも少しブレンドして、ソラックスはダークブラウンのポッサムのダビング材にシンセティックのピーコックをほんの少しブレンドしてかすかなキラメキをプラスといった感じですね。 このMataura Riverに生息する無数のブラウントラウト。 このライズするトラウトの行動を支配する一番大きなファクターは何なんだろう? 自分が思うに、それはたぶん風ですね。 この日はサウスウエスタリー(南西風)が昼間強く、夕方遅くなるにつれて収まったんですが、南半球のNZでは南系の風は冷たい風。 この冷たい風が川面を吹き抜けると、魚がいっせいに頭を下げてしまう。水温は約15度ともうかなり上がってきている。だからこの風さえ止めば、雨は少々降っていても魚は上を向く。ライズは起こる。 そもそもトラウトがライズするメイフライのハッチ自体、風に大きく影響されているんだと思うんです。そういう意味で、トラウトのライズも結局は風によって支配されていると感じるんです。 自分が過去に経験のある釣りで、このMatauraの釣りに一番近いのはやっぱり山梨の忍野での釣りなんですけど、今思い返すと、忍野では風より時間帯を意識してライズの起こる起こらないを考えていた気がするんです。川が小さいから風の影響を感じにくかったのかもしれない。 このMataura本流の大きな流れに立ちこんで釣っていると、時間帯もあるけど、やっぱり風なんだなって思います。 そういう点ではレイクのライズの釣りに近いともいえます。レイクの釣りってホントに風じゃないですか。 このMatauraのようなシチュエーションは、日本にはなかなかないかもしれない。 日本の本流の釣りは今やダブルハンドのウエットの釣りが主流で、ターゲットもレインボウがメインですよね。 想像してみてください。このフラットな本流でライズする40-55cmくらいのブラウンを、5Xティペットに#16-18のメイフライ系ドライで狙うマッチ・ザ・ハッチの釣り。 これはやっぱり面白いですよ。 風が止んで、静かになった水面に広がるライズリング。ボディーをサーフェイスフィルムの下に沈めて、CDCだけを出して流れていく小さなフライをじっと見つめる自分。そのタイミングが上手くリンクした時、「おおっ、出る!」っと感じたその直後、思った通りにブラウンが静かに頭を出してテイクする。自分自身でやっている釣りなのに、この1匹、また1匹とトラウトを水面に誘い出すドライフライの釣りがまるで魔法のように思えてくる。 今まで北島、南島でレインボウ、ブラウンをいろんな川、湖で釣ってきました。 ダブルハンドもやるし、デカイのが釣りたいし、フライフィッシングに関してはけっこういろいろな釣りをやりますけど、もし1つだけ選べと言われたら、このMatauraでドライフライの釣りを選ぶかもしれません。魚のサイズを求めるなら、あるいは景色の素晴らしさでは、他の川で他の釣りに分があるんですが、純粋に「釣りの面白さ」という面では、これ以上はなかなかないのではなかろうか。 フライフィッシングの面白さの根源に一番近いのかもしれません。 フライフィッシャーマンなら、一生に一度は是非釣りにきてもらいたい川です。 今日はこんな天気だったけど、おかげで他には誰も来ないし、最後はMatauraらしい釣りに見事にハマッて、100%釣りに没頭できました。そういう意味ではとても充実したラスト3時間でした。ちょっとバラシが多かったですけどね。 雨に降られ、風も冷たいし、早く上がってしまいたくもなるような日だけど、本当に静かで、完全に川と自分だけで対話できる時間。こういう時に川に立ち込んでいてこそ感じられること、わかることがあると思うんですよね。 今年もあと1週間で仕事を終えてホリデーに入りますけど、あんまり遠くまで行かないで、このMatauraにしばらく居座って、じっくり納得のいくまで釣り込むのもいいかなあと思っています。 それでは、また次回! Tight Lines! PR